親権は、身上監護権と財産管理権の大きく2つに分類されます。そして、身上監護権は、分属監護権(監護、教育権、居所指定権、懲戒権、職業許可権)と身分行為の代理権・同意権の大きく2つに分けられます。
そして、原則、婚姻中は、親権は共同して行うものでしたが、離婚後は、単独で行うことになります。夫婦に未成年の子供がいる場合、その子の親権者を決めなければ、離婚はできません。
離婚をすることに争いがない場合でも、夫婦間の親権の話合いがまとまらない場合には、協議離婚の届出ができず、調停や裁判等で親権者を定めることになります。
親権者と監護権者とが分離して指定される場合もあります。その場合、監護権者は、分属監護権(監護、教育権、居所指定権、懲戒権、職業許可権)を有し、子供と一緒に生活することができます
(なお、代諾養子の承諾の際、監護権者の同意を得なければならない旨の規定もあります)。
親権者、監護権者は、当事者や関係者の事情を総合的に考慮し判断されるものですが、「どうしたら子どものためになるか」ということが親権者を決める際の一番のポイントだと考えております。
なお、一般的には、幼少者の親権者には母親が指定される傾向があり、成人に近い年齢の子の親権者には子の意思を尊重した者が指定される傾向があります。
親権者や監護権者を決めるためには、過度に主観的にならず、客観的に、諸般の事情を考慮した上での判断が必要でしょう。判断に迷うような場合や困ったときは、弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。
面接交渉権とは、親権者(又は監護権者)ではない親が、子供と一緒に時間を過ごしたり、電話で話したり、文通したりする権利であり、具体的法規定はありません
(但し、家事審判法9条1項乙類4号のこの監護に関する処分に含まれると考えられます)。面接交渉権は、親の権利である側面がある一方で、子供の権利としての側面も有しています。
面接を行うことで子供に悪影響がある場合や子供を連れ去るような場合には、面接交渉権が制限されたり認められなかったりする場合もございます。
「どうしたら子どものためになるか」ということが 面接交渉についても一番のポイントだと考えております。判断に迷うような場合や困ったときは、弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。
民法第818条1項
成人に達しない子は、父母の親権に服する。
民法第818条2項
子が養子であるときは、養親の親権に服する。
民法第818条3項
親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
民法第819条1項
父母が協議上の離婚をすることは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
民法第819条2項
裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
民法第819条3項
子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
民法第819条4項
父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
民法第819条5項
第一項、第三項又は前項の協議が整わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
民法第819条6項
子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方へ変更することができる。